- 来客数を増やすにはどうしたらいい?
- 集客で困っています
- アクセスはあるのに、なぜか売れない
こういう相談を、これまで何度も受けてきました。
そのたびに僕がやっているのは、いきなり「じゃあ広告を出しましょう」と答えることではなくて、決まった順番で、その人のお店を見ていくことです。
この記事では、その見る順番そのものを公開します。ネットショップ運営をゼロから始めて8年、累計売上3億円を突破するまでに身につけた、「集客できない」の原因を切り分ける手順です。
この記事で分かること
- 自分のお店が、どこで詰まっているのかを自分で判定できる
- 順番を間違えると、なぜ広告費だけが溶けるのかが分かる
- 打ち手ひとつひとつの「効く理由」と「効かない理由」が分かる
- 現役の楽天店舗の実測データ(アクセス・レビュー・広告)が見られる
先に結論だけ言っておきます。
なぜそう言い切れるのか。まず、僕のお店の数字から見てください。
【実測】お客さんは、店のどこを見ているのか

僕が運営している楽天市場の店舗の、23ヶ月分のアクセスデータを集計しました。のべ約147万アクセス人数分です(23ヶ月の合計値です)。

数字にすると、こうなります。
| 見られている場所 | 割合 |
|---|---|
| 商品ページ | 98.3% |
| 商品レビューページ | 13.3% |
| トップページ | 7.7% |
| カテゴリページ | 7.3% |
| 店内ブログ(コンテンツページ) | 0.1% |
※1人が複数のページを見るので、合計は100%を超えます。
お客さんの98.3%が商品ページを見ています。一方で、トップページを見た人は7.7%、カテゴリページは7.3%しかいません。
端末のほうも見てください。
| 端末 | 割合 |
|---|---|
| 楽天市場アプリ | 69.8% |
| スマホ(ブラウザ) | 26.3% |
| パソコン | 3.9% |
7割がアプリの中です。パソコンで見ている人は4%もいません。つまり、パソコンの大きな画面で作り込んだ店舗デザインは、ほとんどの人の目に入っていないということになります。
そして、来た人のほとんどは買わずに帰ります
もう1つ、モールの前提として知っておいてほしい数字があります。うちの店舗の転換率(来た人のうち、実際に買ってくれた人の割合)です。
| 期間 | 転換率 |
|---|---|
| 直近12ヶ月 | 2.96% |
| 月ごとの振れ幅 | 2.13% 〜 3.31% |
つまり、100人が来て、買ってくれるのは約3人。残りの97人は買わずに帰っていきます。
これはうちが特別に悪いわけではなく、モールではだいたいこんなものです。そしてこの数字は、月によって1%以上も動きます。イベントの有無や、売れ筋商品の在庫状況で変わってきます。
もう1つ。モールで買ってくださるお客様の大半は新規のお客さんです。モールというのは、基本的に新規のお客さんを連れてくる装置だと思っておいたほうがいいです。
検索キーワードの76%は、ロングテール
「どのキーワードから来ているか」も出しました。2025年の1年分です。
| 範囲 | 流入に占める割合 |
|---|---|
| 1位のキーワード(1語だけ) | 1.60% |
| 上位10語の合計 | 9.2% |
| 上位100語を全部足しても | 24.2% |
つまり残りの75.8%は、100位以下のバラバラなキーワードから来ています。
これは大事な話です。「ビッグワードで1位を取る」という戦い方は、うちの店では流入の1.6%を取りにいく戦いにしかなりません。それより、細かいキーワードをたくさん拾える商品ページを、たくさん持つほうが効きます。
つまり集客って、店の力で人を呼ぶんじゃなくて、商品ページ1枚ずつが自分で人を連れてくるイメージなんだよね。
「集客できない」を、4つの順番で診断する

ここからが、この記事の本題です。
「集客できません」と相談されたとき、僕は必ずこの順番で見ます。

多くの人は、いきなり④から入ります。「広告を出そう」「レビューを集めよう」と。でも①〜③が壊れたまま④をやると、お金だけが溶けます。穴の空いたバケツに水を注ぐのと同じだからです。
1つずつ説明します。
① まず商品ページ。しかも1枚目の画像から
一番最初に見るのは商品ページです。その中でも、まず見るのは1枚目の画像。
理由はシンプルで、まずクリックされなければ何も始まらないからです。検索結果にどれだけ並んでも、1枚目でスルーされたら、そのページは存在しないのと同じです。
その次に、こういうところを見ていきます。
- 検索キーワードの設定
- ジャンルIDの設定
- タグIDの設定(項目選択肢別在庫の分も)
- 商品ページ(LP)の作り込み
- 白背景画像が設定されているか
- SKU別のカラー画像・SKUごとのメイン画像が入っているか
「細かい設定の話でしょ」と思うかもしれませんが、違います。ここはクリック率と購入率に直結する項目です。次でその理由を説明します。
② 1枚目だけ良くてもダメな理由
1枚目の画像さえ良ければいい、という話ではありません。
クリックされたあと、ページ滞在時間・店内の回遊率・購入率が低ければ、その商品の検索順位は落ちていきます。順位が落ちれば、そもそもクリックされにくい場所に押しやられます。
逆に言えば、1枚目が良くて、滞在時間も長くて、購入率も高ければ、検索順位は上がっていきます。順位が上がる → 露出が増える → アクセスが増える。この輪を回すのが集客です。
そしてこの輪は逆にも回ります。ここが怖いところです。
③ これ、YouTubeとまったく同じ構造です
ピンとこない人向けに、別の例で説明します。
YouTubeを想像してください。まずサムネイルを見て、クリックするかどうかが決まります。クリックしたあと、その動画がどれくらい再生されたか。さらに、その人が同じチャンネルの別の動画まで見たか。
これらを総合して「このチャンネルはいいコンテンツを出している」と評価されると、検索で上位に出たり、おすすめに表示されたりします。
楽天市場も、考え方はまったく同じです。

言い換えると、楽天の検索対策というのは裏技でも小手先のテクニックでもなくて、「いいコンテンツを出しているかどうか」を見られているだけ、ということです。
④ 次に、どの市場を狙っているのかを見る
商品ページを見たら、次はそのキーワード、そのジャンルで、どの市場を取りにいこうとしているのかを見ます。
例えば「日傘」を売るとします。
極端な例ですが、「日傘」という大きなキーワードを狙って、レディース市場に出し、ジャンルIDもレディースの日傘に設定する。これだけだと、おそらく簡単には売れません。競合が強すぎるからです。
でも、同じ日傘でも、こう考えたらどうでしょうか。

| 狙う市場 | やること | 競合 |
|---|---|---|
| レディース日傘(正面突破) | 大キーワード「日傘」を狙う | 強すぎる |
| メンズの傘 | SKUをブラック中心にして、男性向けとして売る | 手薄 |
| 子ども向け | サイズ・柄・訴求を子ども向けに寄せる | 手薄 |
| ギフト・プレゼント需要 | 「贈り物」という用途で切る | 手薄 |
商品を変えなくても、狙う市場は変えられます。SKUの構成と見せ方を変えるだけです。
キーワードの探し方と置き場所については、こちらの記事で解説しています。
⑤ 需要ではなく「需要と供給のバランス」で見る
市場を見るときに、僕が実際にチェックしている項目を挙げます。
- どの市場を狙っているのか
- どのようなタグを設定しているのか
- その市場の規模はどれくらいなのか
- 需要はあるのか
- 需要に対して競合はどれくらいいるのか
- 需要と供給のバランスはどうなっているのか
- 競合はどれくらい強いのか
- 競合店舗はどのような施策をしているのか
- 競合はいくらで販売しているのか
- その中で自店舗に優位性があるのか
- 優位性を作るためには何をすればいいのか
ポイントは「需要があるか」だけでは足りないということです。
需要が大きい市場ほど、そこに集まっている供給(競合)も厚い。だから探すべきは「需要が一番大きい場所」ではなく、需要はそこそこあるのに、供給が薄い場所です。
一番大きなキーワードは、一番みんなが狙ってる場所でもあるからね。そこに真正面から突っ込むのは、正直しんどいよ。
⑥ そして、商品そのものに魅力があるのか
3つ目に見るのが、商品のクオリティです。そもそも、その商品のスペック・デザイン・機能に需要があるのか。
さっきの日傘で言えば、機能性が低く、価格にも優位性がなく、デザインも普通だったら、当然、売るのは難しくなります。
だから、こう自問します。
- この商品の優位性は何なのか?
- この商品の特徴は何なのか?
- その機能や特徴を、想定しているお客様が本当に求めているのか?
そして売れないのであれば、実は市場から求められていないんじゃないか、という可能性も考える必要があります。ここは、正直、目を背けたくなるところです。
もう1つの可能性もあります。商品自体には汎用性があるけれど、別の市場ではすでに他の店舗がポジションを取ってしまっている、というパターンです。
その場合、打つ手は4段階あります。
| 打ち手 | 重さ |
|---|---|
| 見せ方を変える(画像・LP) | 軽い |
| 切り口を変える(市場をずらす) | 中 |
| 別の施策を打つ(広告・レビュー) | お金がかかる |
| 機能そのものを変える | 重い(次の仕入れから) |
⑦ ここまで満たして、はじめてレビューと広告
①〜③を確認して、「商品ページもいい、市場も間違っていない、商品にも魅力がある」と判断できるのであれば、そこで初めて広告費をかけて販売実績を積むという手が使えます。
逆に言うと、ここまでの3つが満たせていない商品に広告をかけるのは、ただ広告費を燃やしているだけになります。
| 症状 | 見るべき場所 | この記事のどこ |
|---|---|---|
| そもそもアクセスがない | 1枚目の画像 / キーワード / タグ / ジャンルID | ①〜② |
| アクセスはあるのに売れない | 商品ページの中身 / 転換率 | ②と後半のFAQ |
| 売れる日と売れない日の差が激しい | 狙っている市場・競合の動き | ④〜⑤ |
| 広告を出しているのに赤字が続く | ①〜③が飛ばされていないか | ⑥〜⑦ |
| 何をやっても動かない | そもそものジャンル選び | 記事の後半 |
この章の4ステップ診断を、チェックを付けるだけでできる「集客できない」診断シート(スプレッドシート)を、無料メルマガ「楽天出店21ステップ勉強会」の登録特典としてお渡ししています。
- ①商品ページ→②市場→③商品→④レビューと広告の順に、22項目を「はい/いいえ」で答えるだけ
- 「いま最初に見るべき場所」が自動で1行に出ます
- ④から直したくなる順番の逆走も、シートが止めてくれます
毎朝、この6つを見ていますか

診断の道具として、僕が毎日見ている数字も出しておきます。
- アクセス人数
- 注文件数
- 広告の消費額と、その回収率
- クーポンを配っているなら、その取得数
- LINEをやっているなら、その開封率
- 在庫
「アクセス人数と注文件数、どちらで判断していますか」と聞かれることがありますが、両方見ます。片方だけでは、原因がどちらにあるか分からないからです。
そして③〜⑤は、施策を打っている店だけが見る数字です。広告もクーポンもLINEもやっていなければ、見る数字は①②⑥しかありません。それは裏を返すと、打ち手が3つしかない状態ということでもあります。
アクセスがゼロの新商品を、どう動かすか

新しい商品を1つ出したとき、アクセスが0から付き始めるまでに何をやるか。実際の順番を書きます。
新商品を出したときの順番
- 商品ページを作り込む(特に1枚目の画像)
- 販売を開始する
- 広告をかける
- LINEで、既存のお客様にお知らせする
- レビュー施策をやる
- モニター価格クーポンを配る
注目してほしいのは④です。
新商品にアクセスを付けるとき、多くの人は外から新しい人を連れてこようとします。でも一番早いのは、すでに自分が持っているお客さんに知らせることです。
レビュー0件から、最初の10件を取る
新商品の一番の壁は、ここです。レビューが0件の状態。僕がやっているのは、こういう手です。
| 手 | 元手 |
|---|---|
| 売れている商品ページに、新商品への回遊バナーを貼る | 0円(既存のアクセスを流用) |
| LINEでお知らせする | 0円(既存のお客様) |
| 広告をかける | 広告費 |
| アフィリエイターさんに商品を提供する | 商品の原価 |
| 売れ筋商品とのセット品として出す | 在庫の組み替え |
| ロングテールのキーワードで、確実に取れる場所から入る | 0円 |
| イベント(マラソン・SALE)に合わせて投入する | タイミング |
回遊バナーは「アクセスが多い商品」に貼るのではない
ここ、間違えている人がすごく多いところです。
回遊させる商品を選ぶときは、その商品ページに来たお客様が、この新商品を一緒に買いたくなるか、興味を持つか、という視点が大事です。
闇雲に貼ってもダメです。アクセスが一番多いページに貼れば流れる、というものではありません。文脈が合っていないバナーは、どれだけ人が通っても素通りされます。
レビューは、集客の燃料になるのか

レビューの話は、たぶん一番誤解されています。先に結論から言います。
先に結論:レビューは補助でしかない
「レビューが何件を超えたら売れ始めますか?」とよく聞かれますが、正直、そこは分かりません。
売れるやつは、レビューがそんなに付いていなくても、めちゃくちゃ売れます。逆に、レビューを集めたのに動かない商品もあります。
だから、レビューがあれば売れ始める、ではありません。そもそもの商品の魅力と、その市場に対して商品の供給がマッチしているか。そこが重要なところで、レビューは補助的なものでしかない、というのが僕の実感です。
じゃあレビューは何をしているのか
レビューが果たしている役割は、お客さんの判断材料を増やすことです。
レビュー数そのものというより、お客さんが安心するラインであったり、サイズ・色・質感といった情報だったり。とくに大きいのがお客さんが撮った写真です。
店側が用意したキレイに撮られた写真では、どうしても埋まらない情報があります。実際のサイズ感、部屋に置いたときの色味、素材の質感。それを生活の中で撮られた写真が埋めてくれる。ここがレビューの本当の機能です。
レビュー30件は「売れ始めるライン」ではなく「事故に耐えるライン」
それでも数字を1つ挙げるなら、最低でも30件です。ただしこれは「30件集まったら売れ始める」という意味ではありません。
レビューを書いてくださる方の中には、こちらとしては少し不運だったな、と感じるレビューが入ることがあります。認識の違いや勘違いによって、かなり厳しい評価がついてしまうケースです。これはどれだけ丁寧にやっていても避けられません。
| そのときのレビュー総数 | ★1が1件入ると |
|---|---|
| 1件 | 平均が★1。商品そのものの評価として読まれる |
| 30件 | 平均への影響は小さい。「そういう人もいるんだな」で済む |
レビューが1件しかない段階で、その1件が非常に低い評価だったら厳しいですよね。お客様からすると「この商品って、そういう商品なのかな?」と判断されてしまいます。
楽天でレビューが効く、4つの道
とはいえ、レビューを集めることで売上が上がるのは実感としてかなりあります。それは楽天特有の動線があるからです。

| 動線 | 効き方 |
|---|---|
| みんなのレビュー | レビュー専用のサイトから、別の入口が増える |
| 転換率が上がる → 検索順位が上がる | ここが本命 |
| レビュー数順の検索で上位に出る | 正直、これで検索する人はあまりいないと思います |
| 楽天ROOMで紹介されやすくなる | 数が売れるほど紹介される。紹介されると爆発的に売れることも |
4つ目については補足しておくと、これはレビューが増えたから紹介されるというより、数が売れるほど紹介されるという因果です。ルーマーさんに見つけてもらえると、そこから一気に動くことがあります。
3つ目は正直に書いておくね。「レビュー数順」で並べ替えて買い物する人って、そんなにいないと思う。
低評価レビューへの返信は「次のお客様」に向けて書く
ここは、この記事で一番お伝えしたいところかもしれません。
★1〜2がついたとき、僕は基本的に返信をします。そして内容によっては商品ページを直します。
まず商品ページのほうから。「あ、こういう受け取られ方をしてしまうんだな」「ここのデータを追加しないと、買う前と届いた後でギャップが生まれてしまうんだな」。そう気づいたら、注意書きを足したり、説明を厚くしたりします。
そして返信のほうです。ここが本題です。
返信の目的は、そのお客様を説得することでも、誤解を解いてもらうことでもありません。
その低評価レビューを、次に買うお客様、いま検討しているお客様が見たときに、その返信文を含めて読むことで、誤解が解けたり、安心して買い物をしていただけるように。次のお客様に向けた文章として返信文を書く、ということです。
形式上はそのお客様に返信をしていますが、文章としては次のお客様が見たときどう思うかなという視点で作っています。
なぜそれが効くのか
商品レビューで一番見られるのは、低評価レビューだからです。
人間には損失回避バイアスというものがあります。得をしたい気持ちより、損をしたくない気持ちのほうが強い、というものです。
どれくらい強いのか。行動経済学で最もよく引用される推定値では、同じ金額でも、損は得の約2.25倍のインパクトを持つとされています(Tversky & Kahneman, 1992「Advances in Prospect Theory」)。
低評価レビューへの向き合い方については、こちらの記事も書いています。
らくらくクーポンは、あなたの状況で答えが変わる
レビューを集めるためのツールとして「らくらくクーポン」(月額1万円)があります。これ、効果があるかどうかは、いま何をやっているかで変わります。
| いまの状態 | らくらくクーポンを入れると |
|---|---|
| レビュー施策を何もやっていない | レビュー投稿率は一般に1〜2%と言われます。クーポンを配るだけで5〜7%くらいまでは上がる。効果あり |
| すでにおまけ品施策をやっている | 例えば投稿率が15%だとして、そこにクーポンを足しても25%にはなりません。せいぜい17%くらい。ほぼ変わりません |
つまりレビュー施策を何もやっていない人にとっては、有効な打ち手です。まず何か始めたいなら、ここから入るのは全然アリだと思います。
一方で、僕自身がなぜ月1万円を払っていたかというと、レビュー率を上げるためではなく、おまけ品の送付先CSVをダウンロードできる機能のためでした。注文者様のお名前や住所を出力して、宛先を発行する。それ目的です。
広告は「買える集客」。ただし値上がりしています

①〜③をクリアしている商品なら、広告は非常に強い手になります。ただし、状況は変わってきています。
CPCが、この2年で約2倍になった
RPP広告の平均CPC(1クリックあたりの単価)で見ると、2024年の後半は最低入札の10円で回っていました。それが2026年になって、17〜19円です。
同じ売上を作るのに、広告費が倍かかるということです。
この変化で、僕の運用はこう変わりました。
| 項目 | CPC10円の頃 | 今 |
|---|---|---|
| 商品の選別 | ゆるかった | かなりシビアに |
| 予算 | 出せた | 昔よりかなり抑えている |
| 重心 | 広告 | 広告費を自分で払わずに集客する方法 |
ROASいくつで止めるか → 単独では決まりません
「ROASはいくつを目安にすればいいですか」という質問をよくもらいます。よく「最低200〜300%」みたいな数字が出回っていますが、正直、ROAS単独では決められません。
僕が見ているのは、この3つの掛け合わせです。
| 判断材料 | なぜ効くか |
|---|---|
| その商品の利益率 | 利益率が高ければ、低いROASでも回る。逆もまた同じ |
| その商品をどれくらい伸ばしたいか | 育てたい商品なら、赤字でも続ける判断がある |
| 在庫がどれくらいあるか | 在庫がなければ回す意味がないし、逆に捌きたいなら押す |
利益率の考え方については、こちらで詳しく書いています。
広告をかけるのは、2種類の商品だけ
全商品にばら撒くことはしていません。かけるのは、この2つだけです。
- 新商品の立ち上げ(実績を作りにいくための投資)
- すでに売れている商品(伸ばすため)
売れていない既存商品に広告をかけて助ける、ということはやりません。
なぜなら、売れていないなら原因は①〜③(商品ページ・市場・商品そのもの)にあるからです。そこを直さずに広告を足しても、広告費のぶんだけ赤字が増えるだけです。
最初は赤字。そこからの浮上を、出す前に逆算する
新商品に広告をかけるときは、最初は赤字かもしれません。でも販売実績を積むことで自然検索の順位が上がり、徐々に広告以外からも売れるようになれば、途中から黒字化できる可能性があります。

だから広告を出す前に、ここまで見ます。
- 広告予算をどれくらい確保できるのか
- 赤字の状態にどこまで耐えられるのか
- 何個くらい販売すれば、自然検索の順位が上がってくるのか
- どの段階から、自然検索で自立して売れるようになるのか
- どのタイミングで単月黒字に転換するのか
- 何ヶ月目で、その商品単体の累計収支を黒字にできるのか
RPP以外もあります
楽天の広告はRPPだけではありません。僕はこのあたりも使っています。
- CPA広告
- TDA(ターゲティングディスプレイ広告)
- 成果報酬型の広告(売れた分だけ広告費を払うタイプ)
入口商品(フロントエンド商品)の設計と組み合わせると効きます。こちらもどうぞ。
商品数の、正しい増やし方

「商品数を増やしましょう」というアドバイスはよく見ます。これ、半分正しくて、半分は危ないです。
ジャム理論:選択肢を増やすと、人は集まって、買わなくなる
有名な実験があります。あるスーパーで、ジャムの試食ブースを2パターン用意しました。24種類ならべた日と、6種類だけならべた日です。

| 立ち寄った人 | そのあと実際に買った割合 | |
|---|---|---|
| 24種類 | 6種類の約2.5倍(150%多い) | 3% |
| 6種類 | 少ない | 30% |
種類が多いほうが人は集まる。でも、買われない。その差は10倍です(Iyengar & Lepper, 2000)。
選択肢が多いと、選び損ねるリスクを避けて判断そのものを先送りする。そして、そのまま帰ってしまう。これが選択肢過多と呼ばれる現象です。
入口は増やしていい。1ページの中の選択肢を増やしすぎない
だから「商品数を増やす」は、増やし方で答えが真逆になります。
| 増やし方 | 判定 |
|---|---|
| 売れ筋とは別商品として、セット品を新しく作る | ○ 入口(商品ページ)が増える |
| 売れている商品のSKUを増やして複雑にする | × 既存の売上を毀損する可能性がある |
すでに売れている商品にSKUをどんどん足していくのは、その商品の売上そのものを壊しかねません。せっかく買いやすかったページを、選びにくいページに変えてしまうからです。
組み合わせるだけで、入口は増やせる
資金が少ないうちは、そもそも商品数を増やせないこともあります。そこでお金を使わずにできるのが既存商品の組み合わせです。
- ◯枚(点)セット
- 初心者セット
- 引っ越し祝いセット
- ペアセット
- 母の日セット
僕自身の体験を1つ。最近、靴磨きのセットを買いました。
調べてみると、汚れ落としのブラシ、クリーナー、拭く用のタオル、クリーム、クリームを塗るブラシ、塗ったあとに磨くやつ……といったアイテムがたくさん出てきて、
結局どれとどれ買えばいいんだよ! 別にこだわりないし、選んだり調べるのもめんどくさい。
と思っていた矢先に見つけたのが、それらが一つにまとめられて、初心者向けの説明書まで同梱されている「靴磨き初心者6点セット」でした。もちろん、それを買いました。
在庫は、在庫連動の仕組みを使えば管理できます。例えばAのカップ10点、Bのスプーン10点、AとBのセットCが10セット、という持ち方をして、Cが1セット売れたらAとBが9点になる、という連動をさせます。
セールで跳ねさせるには、いつから動くか

「スーパーSALEの準備は何日前から始めればいいですか」とよく聞かれます。これ、実は質問の仕方が違います。
先に決めるべきは何を狙うか。それによって、始める時期がまるで変わります。

| やりたいこと | 準備を始める時期 |
|---|---|
| 大きい市場で上位を狙いにいく | 最低でも半年前 |
| 割引イベント(10〜50%OFF)に参加する | 1ヶ月前(審査が始まります) |
| 自店のイベントをやる(LINEでクーポン配布など) | 1ヶ月前くらい |
| クーポンを配るだけ | 2週間前でも間に合う |
なぜ半年前なのか。
大きい市場で上位を狙うというのは、セール当日に「すでに売れる状態」になっている必要があるということです。当日から逆算して、仕入れが終わっていて、レビューが積み上がっていて、自然検索の順位も取れている。そこまで用意して、はじめてセールで跳ねます。
だから「何日前から?」って聞かれると、正直「どの規模を狙うかによる」としか言えないんだよね。クーポン配るだけなら2週間前で間に合うし。
事前集客は、イベント前ではなく日常的に仕込む
セール前にお客さんを集めようとしても、正直、間に合いません。
セール当日に告知を届けられるかどうかは、それまでの数ヶ月で、何人とつながっているかで決まっているからです。
だから僕は、日常的にこういうところで仕込んでいます。
- 商品ページにLINE登録・お気に入り登録の導線を置く
- 受注メール・出荷メールにも入れる
- ノベルティや同梱物に紙で入れる
僕がやっていないこと

集客の記事は「これをやりましょう」ばかりになりがちです。なので、逆に僕がやっていないことも書いておきます。ここが一番、時間の節約になるかもしれません。
スーパーDEALは使っていません
はっきり言います。僕は使いません。
ポイント原資と手数料の負担に対して、集客効果が釣り合っていないと感じています。
楽天の最強配送・あす楽は、正直まだ効果を実感していません
これはモールによってはっきり差があります。
| モール | 実感 |
|---|---|
| ヤフーショッピングの優良配送 | めちゃくちゃあります |
| 楽天市場の最強配送・あす楽 | 正直、実感がない(2026年8月時点) |
ただし、対応しなくていいという意味ではありません。
楽天市場の公式が、最強配送のバッジがついている商品を検索で優遇していく、これからさらに強くしていくと明言しています。なので対応しておいて損はないと思っていますし、もし今対応していなかったとしても、すぐに対応できる準備は整えておいたほうがいいです。
トップページとカテゴリページは、ほぼ作り込んでいません
冒頭の実測を思い出してください。トップページ7.7%、カテゴリページ7.3%でした。
トップページはぼちぼち手をかけていますが、今はパーツを配置すれば作れるようになっているので、正直そこまで時間はかけていません。カテゴリページに至ってはほぼ手をかけていません。
回遊は、商品ページからの回遊、イベントページ、コンテンツページで作っています。カテゴリページで作ろうとはしていません。
モールの店舗は、SNSをやるべきか

僕は最初の1年、インスタを運用していて、その後やめました。理由を正直に書きます。
フォロワー1万人の価値は、業態でまったく違う
まず前提として、楽天市場は、すごく仕事が多いです。Amazonなどと比べると、店舗の実務がとにかく多い。夫婦2人でやっていると、正直インスタまで手が回りませんでした。
そしてもう1つ、こう考えたからです。
インスタのフォロワーが1万人いたとして、すごいことではあります。でも、影響力があるかというと、ぶっちゃけそこまでないと思っています。
| 業態 | フォロワー1万人の価値 |
|---|---|
| 自社ブランド・飲食店・個人 | 食べていける。フォロワーが「その人・その店」に付いているから |
| 大手ECモールの店舗 | どうしても中身が薄くなる。幅広い商品を扱うぶん、関心がバラけるから |
僕らのように、大手ECモールの店舗として幅広いお客様に商品を提供している立場だと、フォロワーが1万人いても、その中身はどうしても薄くなりがちです。
だから「自分でやる」より「紹介してもらう」を選んだ
販売力という意味では、僕の実感ではこの順番です。
YouTube > Instagram > TikTok
インスタやTikTokは、思われているほど販売力がありません。であれば、自分でフォロワーを育てるより、すでにフォロワーを持っている方に、商品を見つけてもらって紹介してもらうほうが効率がいい。そう考えて、自分ではやらないという判断をしました。
楽天ROOMのルーマーさんやインスタグラマーさんに取り上げられると、一気に動くことがあります。レビューの章で書いた4つ目の動線と同じ話です。
ただし今やるとしたら、やります
この判断は、いま変わりつつあります。
理由はエージェントAIが登場したからです。「手が回らないからやらない」という理由が、そのまま消えました。実際、今はAIを使ってSNS運用をしています。
販路は、増やすべきか

「販路を増やせば売上も増える」と思われがちですが、僕の結論はこうです。
在庫、受注、問い合わせ、ページ管理。これらは販路の数だけ増えます。一方で需要は分散するだけです。
結果的に、いまはヤフーショッピングと楽天市場のみに絞っています。
ただし、ここも前提が変わりつつあります。SNSと同じで、手間がかかるからやらないという判断が、AIによって覆りかけています。
それでも集客できないなら、ジャンルを疑う

ここまで読んでお気づきかもしれませんが、「売上を上げる」「集客を増やす」という課題に対して、クリエイティブなアイデアや、秘密のテクニックはありません。
突き詰めると「すごく地味」で「超基本的なこと」をしっかりやって、それをいかに掛け算できるかだけです。
ただ、どんな手を打っても数字が伸びない場合は、そもそもの商品ジャンル選びを間違えている可能性があります。
- そもそも需要がない
- 需要はあるが、競合が強すぎる(経験談あり)
- 既存のお客が乗り換える理由がない(経験談あり)
- 市場に見合う商品も、認知を取る予算も用意できない(経験談あり)
❷ 需要はあるが、競合が強すぎる
利益率が一見めちゃくちゃ高く、需要もめちゃくちゃある。このジャンルを見つけたときは「いける!」と確信してしまいました。
しかし、結局はこういうことでした。
- 利益率が高く、需要もあり、商品の質・価格も大手と遜色ない
- 利益率が高いということは、競合も広告費をかける余裕がある
- 先行投資で広告をかけなければ、そもそも露出できない
- 条件が良く参入ハードルも低いので、競合が多い
- 結果、資本力(広告費)のある大手に太刀打ちできない
条件が良すぎるがゆえに、まったく集客できないジャンルがある。これを学びました。
冷静に考えれば「そりゃそうだ」なんだけど、自分で自分を客観視するのって、めちゃくちゃ難しいんだなと思わされた出来事でした。
❸ 既存のお客が乗り換える理由がない
これは商品名を出します。青汁です。
大手と同じ商品で、利益率は低い。それでも「大手と同じ商品だから売れるだろう」と思って販売しました。
結果はこうです。
- そもそも青汁はリピート商品
- わざわざレビューもない、価格も同じ商品に乗り換える理由がない
- 利益率も低いため、価格でもどうにもできない
いつも買っているいつもの商品。すでに顧客の購買パターンが決まってしまっているジャンルは、商品のオリジナル性か、広告宣伝費が必要になります。食品・サプリ・化粧品系に多い印象です。
❹ 市場に見合う商品も、認知を取る予算も用意できなかった
もう1つ、失敗を書きます。レディースのアクセサリーです。
負けた理由は2つでした。
- そのジャンルに見合った商品を、仕入れ先から用意できなかった。だから差別化ポイントが作れなかった
- それに見合うだけの資金を用意できなかった。認知を取るための広告費が、想定と桁が違った
レディースの市場って、大きかったりするわけです。じゃあどこで差別化するのか。まず認知してもらうために、どれだけの広告費をかけるのか。そこにおいて、圧倒的にそのジャンルに対しての予算が足りなかった。
結果、まったく人は来ませんでした。
❷と❹は似ていますが、負け方が違います。
| 何が起きたか | |
|---|---|
| ❷ 競合が強すぎる | 露出はできたが、資本力のある大手に競り負けた |
| ❹ 予算も商品も足りない | そもそも認知の入口にすら立てなかった |
いきなり全部変えず、小さくテストする
正直、施策をしっかりやっても売れない(難しい)商品ジャンルがあるのは事実です。
YouTubeもそうで、チャンネルを4つやってみて「めちゃくちゃ難しいジャンル」と「意外と簡単なジャンル」があるのを実感しています。料理系・ゲーム系はまったく反応がありませんでした。
やれることを全部やったのに、うんともすんとも反応がない場合は、商品ジャンルの変更を検討してもいいと思います。
集客力は、足し算ではなく掛け算

最後に、なぜ「順番」にこだわるのかを、数字で示します。
レビュー収集に月1万円を払っているとして、こう比べてみてください。
| やり方 | 月の注文数 | レビュー | レビュー1件あたりのコスト |
|---|---|---|---|
| いきなりレビュー施策だけやる | 100件 | 20件 | 500円 |
| 商品ページと市場を整えてからレビュー施策 | 300件 | 60件 | 166円 |
同じ月1万円でも、1件あたりのコストが3倍違います。しかも後者は40件多くレビューが付くので、そのぶん次の集客力がさらに上がります。
冒頭の診断に戻ってください。「まず①から見る」という順番は、精神論ではなく、こういう計算から来ています。
よくある質問

Q. 転換率は何%あればいいですか?
僕の中では3%が合格ライン、3.5〜4%が目標です。
うちの店舗も、過去は2%くらいで、2%を切ることもありました。それが徐々に上がってきて、直近12ヶ月の平均は2.96%。月ごとに見ると2.1〜3.3%の間で動いています。転換率は改善できる、というのは実感としてあります。
Q. レビューは何件あればいいですか?
最低30件を目安にしています。ただし「30件で売れ始める」という意味ではありません。★1が1件入っても致命傷にならないようにするための、いわば保険のラインです。
Q. ROASの目安はいくつですか?
単独では決められません。その商品の利益率、どれくらい伸ばしたいか、在庫がどれくらいあるか。この3つを合わせた総合的な判断になります。
よく見る「最低200〜300%」という数字は、利益率がいくつの商品の話なのかが抜けているので、そのまま使わないほうがいいです。
Q. セールの準備は何日前から始めればいいですか?
何をやりたいかによります。大きい市場で上位を狙うなら半年前、割引イベントへの参加や自店のイベントなら1ヶ月前、クーポンを配るだけなら2週間前でも間に合います。
Q. スーパーDEALは使ったほうがいいですか?
僕は使っていません。ポイント原資と手数料に対して、集客効果が釣り合っていないと感じているからです。ただしジャンルによっては成立すると思うので、必ず自分の利益率で計算してから判断してください。
Q. 最強配送やあす楽は対応したほうがいいですか?
2026年8月時点で、僕は楽天のほうでは効果を実感していません。ただし楽天公式が優遇を強めると明言しているので、すぐ対応できる準備だけはしておくのが正解だと思います。なお、ヤフーショッピングの優良配送は明確に効果があります。
Q. トップページは作り込むべきですか?
うちのジャンルでは、ほぼ手をかけていません。アクセスの98%は商品ページに来ているので、時間をかけるならまず商品ページです。ただし、世界観で売るジャンルなら話は変わると思います。
Q. 用語が分からないのですが
この記事で出てきたRPP、ROAS、RSL、SKU、ジャンルID、タグIDなどの用語は、こちらの用語集にまとめてあります。
さいごに

長くなったので、やることをもう一度まとめます。
- 商品ページを見る(1枚目の画像、キーワード、ジャンルID、タグ、LP、SKUごとの画像)
- どの市場を狙っているかを見る(需要と供給のバランス、競合の強さ、自店の優位性)
- 商品そのものに魅力があるかを見る(求められていない可能性も、正直に疑う)
- そこまで満たしてから、レビューと広告で実績を作る
「じゃあ、今ゼロから始めるとしたら最初の3ヶ月で何をやりますか」と聞かれたら、答えはこうです。
身も蓋もない話ですが、これが正直なところです。
近道を探している間に、地味なことを愚直に積み上げている人に、普通に抜かれます。僕自身、うまくいった商品は全部、この順番を1つずつ潰していった結果でした。
やることは、上の4つだけです。まずは自分のお店の商品ページを1つ開いて、1枚目の画像から見直してみてください。
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