「当店通常価格1,000円→セール価格800円」。この「当店通常価格」は、自由に名乗れる言葉ではありません。
楽天市場では、その価格で本当に売ってきたという販売実績があって初めて名乗れる仕組みになっています。実績の数え方はかなり細かく、セール申請のたびに店長が確認する項目です。
この記事では、楽天市場に出店して8年目の現役店長が、当店通常価格を名乗れる条件を整理します。
この記事でわかること
- 当店通常価格は実績の名前だということ
- 販売実績の条件(直近2週間+合計4週間)
- 新商品など8週間未満のときの数え方
- やりがちな違反4パターン
- スーパーSALE申請で見られること
当店通常価格とは|自己申告ではなく「実績」の名前
当店通常価格とは、自分の店が楽天市場でふだん販売してきた価格のことです。二重価格欄(販売価格の上に比較対照価格を出す欄)に入れられる数少ない価格のひとつで、セールの「元値」としていちばんよく使われます。
ここでつまずきやすいのが、「ふだんの気持ちの価格」を書けばいいと思ってしまうことです。実際は逆で、実績が先、表示が後。ルール上の位置づけを整理するとこうなります。
| ありがちな誤解 | 実際のルール |
|---|---|
| いつも売っているつもりの価格を書けばいい | 販売実績の条件を満たした価格だけ |
| 実店舗や自社サイトの実績も数えられる | 楽天市場の同じ商品IDの実績だけ |
| 売れていないと実績にならない | 買える状態で掲載していればいい |
3つ目が意外なポイントで、実際に売れたかどうかは関係ありません。その価格で「ユーザーが購入できる状態」だった期間が実績として数えられます。
なぜここまで厳しいかというと、実績のない元値との比較は景品表示法の「有利誤認」(実際より得だと誤解させる表示)にあたるからです。国のルールが先にあり、楽天のガイドラインはそれをモール内で確実に守らせるための運用ルール、という関係です。
販売実績の条件|直近2週間+過去8週間のうち合計4週間
本則はこうです。セール直前の2週間にその価格で販売していて、かつ、過去8週間のうち合計4週間はその価格で販売していたこと。この両方を満たすと、その価格を当店通常価格として表示できます。

たとえば1,000円を元値にしたいなら、1,000円で1週間だけ売ってすぐ800円セール、はできません。直近2週間+トータル4週間、1,000円で買える状態を作ってからセールに入る必要があります。
もうひとつ大事なのが、数える単位です。実績は商品IDごと、さらにSKU(カラー・サイズ)ごとに見られます。同じ商品でも別の商品IDで売っていた期間は実績になりませんし、実店舗や自社サイトでいくら売っていても楽天市場の実績にはなりません。「商品を登録し直したら実績がリセットされた」というのは、この商品ID単位のルールが理由です。
では「買える状態」とは何か。ここもシステム上の定義があります。

「売れてなくてもいい」が意外でしょ。棚に正札で並べていた期間があるか、で数えるイメージです。倉庫に入れていた期間だけは「並べていなかった」扱いになります。
販売期間が8週間未満のときの数え方
発売したばかりの新商品は、そもそも8週間の歴史がありません。その場合は「販売期間の過半、かつ2週間以上」その価格で売っていれば条件を満たします。

たとえば発売から6週間の商品なら、過半=3週間を超えてその価格で売っていることが必要です。どちらのルートでも「直近2週間」は共通で外せません。発売直後に「発売記念セール」で値引き表示をしたくなりますが、元値の実績が2週間たまるまでは、当店通常価格との比較は出せない——というのがルール上の帰結です。
気をつけたいのは、販売期間の途中で倉庫に入れたり闇市に移したりすると、その期間は実績から抜けることです。「発売から6週間」でも、買える状態だったのが3週間なら実績は3週間で数えます。
やりがちな違反4つ
ガイドラインには、当店通常価格まわりの禁止事項がはっきり書かれています。どれも「実績がないのにあるように見せる」工作です。悪気がなくても、結果としてこの形になっていれば同じ扱いになります。

3つ目のクーポンは特に見落としがちです。全会員向けのクーポンを断続的に出し続けると、値引き後の価格が「誰でも買える実態の価格」になります。その状態で値引き前の価格を当店通常価格として掲げると違反です。クーポンを月の大半で出しっぱなしにしている店は、一度立ち止まって確認してください。
業界を見渡すと、ふだんの価格を高めに設定しておいて、セールのときの価格が実質の定価——という売り方の店も見かけます。「買う理由」をセールで作る発想ですが、実績ルールはまさにここに線を引くための仕組みです。実績のない元値との比較は、どこかで必ず引っかかります。
スーパーSALE申請のチェックで見られること
スーパーSALEなどの大型イベントで検索特集(サーチ)に載せるには、商品ごとの申請と機械チェックがあります。元値に当店通常価格を選んだ場合、主なチェックはこの4つです。

実績のチェックはSKU単位でおこなわれます。カラーやサイズ違いのうち1つでも実績が足りないと、その商品は合格できません。割引率は10%以上が必要で、小数点は切り捨てで計算されます。「ぴったり10%OFF」を狙う値付けは、端数の切り捨てで9%台になって落ちることがあるので、余裕を持たせるのが安全です。ちなみに割引率が50%以上あると「半額商品」として扱われ、イベント内の半額特集に載る対象になります。
商品情報のチェックでは、基準日からの消費税・送料設定の変更や、ページの同一性が見られます。セール用にコピーページを作る場合も、商品名・画像・説明文が元ページと同一であることが条件です。要するに、H2の4つめで見た違反パターンを機械的に検出している、と考えると分かりやすいです。
実績がないときはどう表示するか
「元値の実績が足りない」と分かったときの選択肢は3つです。
実績が足りないときの3つの道
- 二重価格を使わずに売る……値下げ自体は自由。比較表示をしなければ違反にならない
- 実績を作ってからセールに使う……元値で2週間+合計4週間、買える状態を積む
- 別の比較対照価格を検討する……メーカー品なら、メーカー希望小売価格や商品価格ナビの参照が使える場合がある
大事なのは、値引きそのものは止められていないということです。禁止されているのは「安くなったと見せる根拠のない表示」であって、価格を下げる判断はいつでもできます。実績が足りないなら、今回は比較表示なしの「セール価格800円」だけで出す。それで十分戦える場面も多いです。
次のセールを見据えるなら、逆算で考えます。セール開始日の8週間前から元値の実績を積み始めれば、条件は満たせます。楽天のイベントスケジュールはおおよそ読めるので、元値の期間→セール、というサイクルを商品ごとに設計しておくと、毎回慌てずに済みます。
うちの店では、元値の期間も利益が出る値付けを前提にしています。送料込みの設計で同梱時に原資が生まれるような組み方をしておくと、実績期間をきちんと過ごしたうえで、セールで値引いても身を切らないセール設計になります。
そもそも何と比べていいのか、という全体像はこちらです。
実績がない商品でメーカー希望小売価格を使う場合は、こちらを見てください。
さいごに
当店通常価格の条件を整理しました。
この記事のまとめ
- 当店通常価格は実績の名前。自己申告ではない
- 条件は直近2週間+過去8週間のうち合計4週間
- 8週間未満なら過半かつ2週間以上
- 実績の偽装4パターンは明文で禁止
- SS申請はSKU単位・割引率10%以上でチェック
実績を作るのに近道はありませんが、逆に言えば、ふだんから正しい価格で売っている店はセールのたびに強いということです。元値を育てる意識で価格を運用してみてください。
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この記事を書いた人

ラクマート認定講師:TAKAHIRO
- 2015年から3年間ネットショップに挑戦するも1円も稼げず、100万円以上の借金を負う
- 2018年に融資を受け、ネットショップ経営に独学で挑戦する
- 初年度から年商2,000万円以上を売り上げる
- 2022年に楽天市場「月間優良ショップ」を受賞
- 2022年に始めたYouTubeが1ヶ月で登録者1万人突破(現在は3万人以上)
- 2023年に楽天市場「ショップ・オブ・ザ・マンス【都道府県賞】」を受賞
- 2024年にラクマート史上初の「認定講師」7人のうちの1人に選ばれる
- 楽天市場は出店8年目。2025年度は年商6,000万円、累計売上3億円を突破
- ラクマートでの累計仕入れは6,000万円以上。最上位のV10会員
- 紹介したラクマート利用者は1,400人以上。中国の工場・船便倉庫と1688本社も現地視察ずみ
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