「当店通常価格○○円のところ、いまなら△△円」。お客様に安さを伝えるいちばん定番の見せ方が、この二重価格表示です。
ただ楽天市場では、「何と比べていいか」が細かくルール化されていて、根拠のない比較は違反点数の対象になります。セールを組むたびにこのルールとにらめっこするのが店長の仕事です。
この記事では、楽天市場に出店して8年目の現役店長が、二重価格表示のルールを1記事で整理します。
この記事でわかること
- 二重価格表示・割引表示・%OFF表示の違い
- 比べていい価格は6パターンに整理されている
- 二重価格欄に入れられるのは3つだけ
- 「ポイント◯倍で実質●円」が禁止されている理由
- 違反すると何点つくのか
二重価格表示とは何か|割引表示・%OFF表示との違い
二重価格表示とは、販売価格とは別に「比較対照価格」を並べて表示することです。比較対照価格というのは「通常○○円」のように、いまの販売価格と見比べさせる相手の価格のことです。
RMS(楽天の店舗管理システム)には、販売価格の上に比較対照価格を表示するための専用の欄があります。これを「二重価格欄」と呼びます。
楽天のルールでは、安さを見せる表示を3つの型に分けて整理しています。

| 表示の型 | 例 | 何を示すか |
|---|---|---|
| 二重価格表示 | 当店通常価格1,000円→800円 | 比較対照価格を並べる |
| 割引表示 | 「セール」「特価」 | 安さを言葉で強調する |
| 割引率・割引額表示 | 「20%OFF」「200円引き」 | 差分を数字で示す |
大事なのは、どの型でも「何と比べてどう安くなっているのか」という根拠が必要だということです。根拠を説明できない「セール」「半額」は、それだけで違反になりえます。
楽天がここまで細かく決めているのは、価格表示がお客様の「買う・買わない」を直接動かす情報だからです。いつもと同じ価格なのに「半額」とうたう店が放置されれば、楽天市場全体の価格表示が信用されなくなる。だから個店の善意まかせにせず、モールのルールとして線を引いています。
比べていい価格は6パターンに整理されている
比較対照価格として何を使っていいかは、楽天のガイドラインでア〜カの6パターンに整理されています。まず地図として全体を見てください。
| パターン | 比較対照価格 | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| ア | 当店通常価格 | 自分の店の販売実績と比べる |
| イ | メーカー希望小売価格 | メーカーが公表した価格と比べる |
| ウ | 参考小売価格・旧定価 | 楽天の価格データと比べる |
| エ | ブランド公式サイト掲載価格など | ブランドの販売価格と比べる(主に並行輸入品) |
| オ | 「通常価格」「メーカー希望価格」 | あいまいな名前。使えない |
| カ | 実店舗販売価格・自社サイト価格など | 説明があれば本文に書けるだけ |
そして、パターンごとに「二重価格欄に入れられるか」「%OFFと書けるか」が変わります。ここがこのルールの本体です。

エとカの違いも押さえておきましょう。エ(ブランド公式サイト掲載価格など)は、条件を満たせば%OFF表示までできるのに対して、カ(実店舗販売価格など)は、どのような価格かの説明をつけて本文に書けるだけで、%OFF・割引額の計算には使えません。同じ「欄に入れられない価格」でも、できることの範囲が違います。
二重価格欄に入れられるのは3つだけ
可否マップをしぼり込むと、二重価格欄(販売価格の上の欄)に入れられる比較対照価格は3つだけです。
- 当店通常価格……直近の販売実績があることが条件
- メーカー希望小売価格……根拠資料(エビデンス)の掲載か、商品価格ナビのデータ参照が条件
- 参考小売価格・旧定価……商品価格ナビのデータ参照が条件

ブランド公式サイトの価格や実店舗の販売価格は、条件を満たせば商品説明文の中に書くことはできますが、二重価格欄そのものには入れられません。「欄に入れていい価格」と「本文に書ける価格」は別物、と覚えておくと迷いません。
実務での使い分けはシンプルです。メーカー品を仕入れて売っている店ならメーカー希望小売価格、オリジナル商品や輸入品の店なら当店通常価格が主戦場になります。参考小売価格・旧定価は、メーカー希望小売価格が取れない型番商品を商品価格ナビのデータで補うイメージです。
当店通常価格の販売実績の数え方、メーカー希望小売価格のエビデンスの作り方は、それぞれ条件が細かいので、別の記事で1本ずつ解説します。
「ポイント◯倍で実質●円」が禁止されている理由
やってしまいがちなのが、「ポイント10倍だから実質△△円」という見せ方です。これは楽天のガイドラインではっきり禁止されています。
理由はシンプルで、ポイントはその場で値引きされるお金ではないからです。付与されたポイントは次の買い物でしか使えません。「いま払う金額」は変わっていないのに、換算した価格を販売価格のように見せると、実際より安く誤解させる表示になります。
「実質」って書きたくなるんですけどね……。ポイントは値引きじゃなくて次回のおまけ、というのが楽天の整理です。ポイント◯倍そのものを訴求するのは問題ありません。
ポイント変倍の企画自体は楽天公認の販促です。「ポイント10倍」と書くのはOK、換算して「実質●円」「実質●%OFF」と書くのがNG。この線だけ引いておけば大丈夫です。
違反すると何が起きるか|違反点数20点+景表法
根拠のない二重価格・割引表示は、楽天の違反点数制度で「不適切な価格表示・割引表示」として20点がつく場合があります。

違反点数は累積で措置が重くなる制度で、35点に達すると検索順位ダウンなどの措置が始まります。1回の価格表示違反でつく20点は、その半分を超える点数です。軽い気持ちの「盛った表示」1回と、次のうっかり1回で措置ラインに届いてしまう距離感です。
こわいのは、わざとではなく気づかないうちに違反しているパターンです。よくあるのは、セールが終わったのに割引表示を消し忘れている、昔の仕入れ条件のときに書いた比較対照価格がページに残っている、といった放置型です。価格表示は一度作って終わりではなく、セールの開始と終了のたびに見直すものと考えてください。
さらにこのルールの土台は景品表示法という法律です。楽天のペナルティで済まず、悪質なケースは「有利誤認表示」として法律側の問題にもなります。二重価格のルールを守ることは、楽天対策である前に法律対応です。
迷ったときの判断順
実務では、この順番で確認すると迷いません。

ポイントは②で止まる勇気です。二重価格欄に入れられるのはア・イ・ウの3つだけなので、それ以外の価格を使いたいときは、欄ではなく商品説明文の中で、どのような価格かの説明つきで書けるかを確認します。
たとえば1,000円で売ってきた商品を800円のセールに出すなら、①比べる相手は自店の実績なので「当店通常価格」(ア)、②二重価格欄に入れてよいパターン、③1,000円での販売実績が条件を満たしているか確認、④満たしていれば「当店通常価格1,000円の20%OFF」まで書ける——という流れです。
また、スーパーSALEなどのイベントに商品を申請するときは、楽天側で価格の妥当性がチェックされます。ふだんから根拠のある価格表示をしておくことが、そのままイベント対策にもなります。
比較対象にいちばん使う「当店通常価格」の条件は、こちらにまとめました。
メーカー希望小売価格と比べる場合は、別のルートになります。
さいごに
二重価格表示のルールを整理しました。
この記事のまとめ
- 安さを見せる表示は3つの型。どれも根拠が要る
- 比較対照価格はア〜カの6パターンで可否が決まる
- 二重価格欄に入れられるのは3つだけ
- ポイント換算の「実質●円」は禁止
- 違反は20点。景表法のリスクも重なる
二重価格のルールは「安く見せる技術」ではなく、「本当に安いことを正しく示す技術」です。根拠のある比較だけを載せている店は、セールのたびに堂々と割引を打ち出せます。逆に根拠があやしい表示は、点数がつく前にお客様の信頼を削ります。
セールを組む前に、この記事の判断順を思い出してもらえたらうれしいです。
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この記事を書いた人

ラクマート認定講師:TAKAHIRO
- 2015年から3年間ネットショップに挑戦するも1円も稼げず、100万円以上の借金を負う
- 2018年に融資を受け、ネットショップ経営に独学で挑戦する
- 初年度から年商2,000万円以上を売り上げる
- 2022年に楽天市場「月間優良ショップ」を受賞
- 2022年に始めたYouTubeが1ヶ月で登録者1万人突破(現在は3万人以上)
- 2023年に楽天市場「ショップ・オブ・ザ・マンス【都道府県賞】」を受賞
- 2024年にラクマート史上初の「認定講師」7人のうちの1人に選ばれる
- 楽天市場は出店8年目。2025年度は年商6,000万円、累計売上3億円を突破
- ラクマートでの累計仕入れは6,000万円以上。最上位のV10会員
- 紹介したラクマート利用者は1,400人以上。中国の工場・船便倉庫と1688本社も現地視察ずみ
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